SPECIAL

スタッフインタビュー

シリーズ構成
菅原雪絵さん

作品との出会いを振り返って思い出されることは?

初めに「ヴィジュアル系+ヴァンパイア」のコンセプトを伺った時は驚きました。流行にも音楽にも全く疎いのでECLIPSE(初代)のような絵しか浮かびませんでした。そのへんはご存知の方たちなのに、何故私が呼ばれたのだろうと不思議に思ったものです。でも理由はすぐにわかりました。上松さんはじめ、この企画を進めてきた方たちが積み上げた膨大な設定とプロット。まさに「想い」と「面白さ」の塊を、1クールのアニメにどうやって落とし込むかという段階になっていたからです。それならば、私にもできることがあるとお引き受けしました。その時点から、ヴィジュプリは磨き上げたらすばらしい輝きを見せてくれるという確信がありましたし、その道は大変険しいだろうという予感もありました。

「シリーズ構成」として注力されているポイントは?

注力=非常に苦労した点になりますが、テーマである「音楽」、そして「ヴィジュアル系」とは何なのか。まず構成の私がそれに対する答えを出さなければ脚本が書けません。一から勉強の日々でした。関係者が大変だったと思います。そんな中で、「ヴィジュアル系」が強烈な魅力と繊細さを併せ持ちながら、時代によってかなり変化を遂げていること。少々他のジャンルとは異なる性質を持つと考えるに至りました。その結果のひとつとして、アニメ本編でアンジュたちが自ら「ヴィジュアル系」と名のることはさせていません。彼らの音楽を知り、それぞれのユニットの世界に魅了された人々がいつしか「ヴィジュアル系」と呼ぶようになる。そう考えたのです。O★ZやLOS♰EDENといったユニット名も、自分たちでつけるのではなく、紅い月から与えられる設定にしたのもこの影響です。

特に気になるユニットやキャラクターは?

全員愛しいし、楽曲は全部大好きです。
オリジナル作品ではよくある話という言い訳を前置きしつつ。1話の時点ではほぼ全てがまだ闇の中でした。もちろん構成という大よその道は作っていましたし、彼らを象徴するA面の部分は決まっていましたが、何故彼らがそこに至ったのか、どんな想いを秘めているのか。その魂の在処がまだ見極められていなかったのです。
スタッフ皆で考え、上松さんの楽曲に導かれ、彼らの魂を見出していくうちに、どんどん全員がとても大切で、愛しい存在になっていきました。この過程は物語に如実に表れているので、きっと皆さんもいつの間にか全員好きになっちゃう――と嬉しいです。

ビビッときたシーンを1つ教えてください!

アンジュたち全員に、それぞれビビっとくるシーンを用意したつもりです。
そして、大体全員に「えーーー!!!」となるネタがございます。
また、ヴァンパイアという設定を最大限活用した結果、アンジュたちはそれぞれ、その生まれも、時代も、立場も、ヴァンパイアになった理由も異なります。例えば、本物の貴族だった人もいますし、ポケットの小銭が全てだった人もいます。彼らが自ら過去を語ることはあまりありませんが、この違いを頭の隅に置いておいていただけると、より楽しいと思います。

ズバリ、ご自身が〝美〟を感じるものとは?

最近はベースです。その音、バンドでの役割、全てに美しさを感じます。
「何故ベースを選んだのか? 一番クールな楽器だからだよ」――あるドキュメンタリー映画のベーシストの言葉です。かっこよくないですか!?

2話のみどころは?

2話は、ついにイヴ&パンニャが登場です!
そして1話で「!」の連続だったアンジュが、ヴァンパイアの世界を知る回になります。このため、とても情報や説明が多いお話になりましたが、アンジュと一緒にヴァンパイアの世界に入っていただければ嬉しいです。個人的なみどころとしては、ここからディミトリが本性を現すので楽しみにしています。

最後に「ヴィジュアルプリズン」を楽しんでくださっている方たちへメッセージを!

本作のヴァンパイアたちはあまり素直ではないので、ほとんど本当のことは言いません。
もしくは、本当の気持ちを自覚していないので言えません。
そしてヴァンパイアは“偽りを歌にできない存在”です。
では、彼らの歌を知った後に、もう一度その言葉に耳を傾けると――。
ぜひ、最後までご覧ください。